下町フォント日記

佐藤豊オフィシャルブログ 2010〜2016

きちんと当たり前に

ずっと雨が降っていて、窓から見える遠景は白く霞んでいる。

●最近読んだ雑誌以外の本
商品がありません。漫画業界では契約を交わさずに仕事をしている人が殆どのようだ。
著者である彼の考えには、私と相通ずるものを感じて、応援している。

30年以上前、初めて私が書体商品化の契約を交わしたのは米国の会社だった。
契約案として提示された文書に「この契約以後、オマエ(私)が制作する書体は最初にウチの会社に見せなければいけない。ウチで必要ないと判断したら、他に見せても良い」みたいなことが記されていて驚いた。

そのころ依頼していた翻訳業者から「欧米との契約では、相手は自社側に利益になることばかり書いてくるから、嫌なら嫌とはっきり拒否して、自分の希望をきっちり相手に要求し、納得できる状態になったときにサインすればいい…」と教わった。

だから日本の会社を相手にしている今でも、書体のライセンス契約にはかなり気を使っている。
しかし「アイツは契約条件にうるさい」みたいな陰口をいう人もいる。私としては、生きていくためにきちんと当たり前にビジネスしているつもりなのだが、組織に属して毎月給料が貰えている人達は、なかなか理解できないようだ。